CASE 26 遺伝子と腸内フローラ検査を通じてパーソナライズドヘルスソリューションを提供する英国企業アトラスバイオメッドの日本市場参入をサポート

アトラス日本合同会社
マネージングディレクター
ポタポワ ダリア さん
https://atlasbiomed.co.jp/

Atlas Biomed (アトラスバイオメッド)は、2016年に英国で設立されたヘルステック分野のスタートアップです。
同社は、検査キットを用いて採取した唾液および糞便サンプルの解析結果とライフスタイルデータを組み合わせてユーザーの健康状態を把握し、それらをもとに独自のヘルスプラットフォームを活用して、健康管理に役立つパーソナライズされた実用的なアドバイスを提供します。
ユーザーの遺伝子、腸内フローラ、ライフスタイルデータを組み合わせたこの分析手法は他に類を見ないもので、疾病発症リスクの評価をはじめ、データ・エビデンスに基づいてユーザー1人ひとりに対して多面的で詳細な健康プロファイルを生成するのが大きな特長です。

同社の検査キットは、英国をはじめすでに欧州13か国のほか、トルコ、ロシア、カナダなどに提供され、ユーザーの疾病発症リスクの可視化、健康増進、生活習慣病予防などの領域で実績を上げています。
また、遺伝子解析と腸内フローラ解析両分野における最先端の研究、豊富な知見は同社の強みであり、これを活かして欧州大手飲料メーカーやヨーグルトメーカー、製薬企業などと100件を超すR&Dプロジェクトを実施するなど、ヘルステック分野のスタートアップとして順調に実績を伸ばしています。

そして、2020年1月、日本でのサービス展開を目的にアトラス日本合同会社を東京に設立、日本市場参入へ本格的に乗り出しました。

ビジネスコンシェルジュ東京(BDCT)およびパートナーシップ支援事業によるサポート

  • 日本におけるビジネス展開に向けた情報提供・アドバイス
  • 協業企業の紹介
  • オンライン産業交流展への参加
  • 東京都産業労働局のマッチング商談会への参加

東京を拠点に選んだ理由

日本は世界有数の超高齢社会です。人々の"健康長寿"に対する関心も高く、生活習慣病をはじめ、高齢になるほど発症リスクが高まるさまざまな病気や、その予防に強い関心を寄せています。生活習慣を改善し、健康を維持・増進して、元気な心身で毎日を過ごしたい、長寿を全うしたいと真剣に考える人が増えています。

また、近年は腸内環境を整える"腸活"への関心もいっそう高まっています。テレビや新聞・雑誌、ネットなどで、"腸活"関連の記事や広告を目にしない日はないほどです。それぞれの暮らし、生活体験のなかで、"健康が一番"という人々の想いが強くなっているからではないでしょうか。
加えて、世界史的なコロナ禍に見舞われている現在、私たちはこれまで以上に自身の免疫力や体調に注目し、健康管理に気を配るようになりました。

もとより、日本の方々は健康に対する意識が高く、そのため医療や食品分野などにおいて高度な先端技術、豊富なサービス提供のノウハウを保有している企業が数多く存在します。つまり、日本、そしてその首都である東京には、当社と協業が見込める企業がたくさんあるということです。当社にとって日本は、大きな成長可能性のある市場なのです。

ビジネスコンシェルジュ東京を利用した感想

欧州を中心にビジネスを展開してきたスタートアップである当社にとって、協業が期待できる日本企業に対してどのようにアプローチしていくのがより効果的か、日本法人設立当初は暗中模索状態でした。コロナ禍に見舞われたことも日本進出の速度を鈍らせた大きな要因でした。
それでも、2020年4月からBDCTおよびパートナーシップ支援事業(東京都事業)のサポートを受けることとなり、徐々に日本市場でのビジネス展開の道筋が見えてくるようになりました。

まず、日本企業にアプローチするための当社のアピールシートの作成にあたり、東京都事業にて日本でのビジネスモデルの明確化、会社・商品の強みの強調、当面ターゲットとする業界の明確化などのアドバイスをいただき、修正を図っていきました。

実際、東京都アクセラレータプログラムへの参加活動で、大手企業との商談がまとまり、当社独自では出来ないアプローチが可能となりました。

その後も、当社からの機能性食品・飲料メーカー、保険会社、医薬品企業とのマッチングの要望に応じ、複数の企業を紹介していただくなど的確なサポートをいただき、助かっています。

日本市場に進出したばかりの当社にとって、日本のビジネス事情を熟知した東京都事業のサポートに深く感謝しております。当社の日本市場進出はまだ端緒に就いたばかり。
今後も良きパートナーとして、迅速かつ的確なサポートに期待しています。

今後のビジネス展開

日本市場に進出するスタートアップにとって当初の共通課題ともいえるのが、提供するサービスの認知度をいかに上げていくか、ということです。そのためには日本の大手企業とパートナー契約を結ぶことがインパクトも大きく、有効です。
そこで、東京都事業でのアドバイスやサポートもあり、テック系セミナーや東京都開催の各種イベントに積極的に参加し、PR活動を推進しています。
2021年度内には、検査結果に基づいて食事改善のアドバイスを提供するスマートフォン連携のアプリも投入する予定で、認知度を高める話題性という観点からも期待しています。

そして、検査キットの販路拡大はもちろん、遺伝子解析と腸内フローラ解析の両技術を保有する当社の強みを生かして、いずれは欧州での展開のように協業企業との商品開発などR&Dプロジェクトを推進していきたいと考えています。当社の挑戦はまだ始まったばかりです。

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